美しい唇

パブリックなカルチャー

世界

死ぬまで生きる。

 

生まれてしまった以上はいつか死ぬ。

だから憂うことなく生きなさい。

桜が咲き、そして散っていくように。

ただそれだけが創世主からの信託。

 

ところで、誰がこの世界を始めたのだろう…

何を目的として…

 

時折思い浮かぶ世界観。

ここは誰かが外から観賞することだけを目的に作られた箱庭。

繰り広げられる全ては茶番。

そんな箱庭が何十と無造作に並べられていて、我々が唯一無二と信じて止まない「世界」が実はありふれたもの。

自分が、本当は、シルバニアファミリーの人形のうちの一体に過ぎないのではないかと疑う瞬間がある。

 

私たちは血と涙を流しすぎている。

創世主が見捨てれば終わるこの世界で(創世主様はとっくの昔にお飽きになられていて、別の「飼い主」がこの世界を保っているのかもしれないが)、何を頑張っているのだろう。

本番のつもりで、茶番を繰り広げているに過ぎない。

地球が爆発すれば、我々と我々が何故か必死に紡ぎ上げている物語は粉塵となり宇宙に散るだけなのに。

人々は虚無の中に居ることを認めることができないようで。

認めたところで虚無は虚無だけれども。

 

だから、どうか、邪魔をしないでほしい。

叶えられぬ望みとは知っている。

大人は社会に居なければならない。

でも、それは卑小なルール。

そんなものに打ちのめされて創世主の信託に応えられないとしたら、ちっとも美しくない。

鎖が邪魔をするのならば、千切る。

そしてもし駄目になるようなら、運命を甘受する…

葡萄酒

ジンファンデルを飲んだ。

ジンファンデルとは葡萄の品種。

赤ワイン。

ジンファンデルは美味しい。

第一、名前がお洒落。

カベルネ・ソーヴィニヨンなど敵わない。

…アンチカベルネ・ソーヴィニヨンの戯言。


飲んでみたいワイン。

オーパスワン。

カベルネ・ソーヴィニヨン主体のアメリカの名高きワイン。

新世界を崇拝する者(仏国のワインの「格付け」ってものが気に食わない)としては惹かれるところである。

もしオーパスワンを気に召さなければ、カベルネ・ソーヴィニヨンに望むものはもう何もない。

いかなるカベルネ・ソーヴィニヨンも駄目だ、と決めつけられる。

逆に、オーパスワンを気に召せば、オーパスワンが偉大ということだ。

決着をつけられる日はいつ来るのか。

オーパスワンは素晴らしいが好みではない」とジャッジするであろうと薄々勘付いているが。


ちなみに、ジンファンデルはキスの味がする。

官能的。

カベルネ・ソーヴィニヨンはタンニンの味しかしないけれど。

飲めばわかる。

飲んでもわからなかったらごめんなさい…

ジンファンデルを愛している。

信奉

真夏の

雲ひとつない

正午頃

黄色い花畑に

仰向けに寝転んで

風に肌を撫でられて

鳥の声を遠くに聞きながら

微睡むように


死にたい


…死にたさの内実はこんなもの。

ファンタジーが過ぎる。

でも、本当に、上記のようにして死ぬことは人生における最後の砦。

他に何も成せなくとも、何も守れなくとも、必ず踏み止まらなければならない最終防衛線。

美しいものたちに囲まれて死ぬのだ。

太陽、空、風、花。

憂いのない世界に帰れるという望みが、この世界での支えになる。


「死にたい」は未来永劫の平穏無事を祈る言葉、美しい言葉。

誤解を恐れつつ言うと、毎日死にたい。

祈り、信じる。

医学的な死とはまた別の話。